タイだ。

タイで外こもりニートの日記帳。

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王の国と国民の国との戦い

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ทามาดะ โยชิฟูมิ (Tamada Yoshifumi) การต่อสู้ของรัฐ Monarch Vs. รัฐประชาชน

8月24日、京都大学のTamada Yoshifumi教授(玉田芳史教授でしょうか)を招いてのチェンマイ大学での会合の記事。教授はタイやアセアンの研究でとても高く評価されているそうです。海外の学者はタイの政治をどう見ているのか、ということで注目されたようですね。

以下抜粋。間違いが有ったらご指摘お願いします。

2003年から2006年、タイの民主主義はまだ許容されるレベルだった。政治的権利の面、国民の自由度の面においてどちらも2~3と評価(7段階で1が最も高い)。しかし2006年のクーデター後はそれぞれ7と4という評価、現在ASEAN諸国で4番目のレベルとなっている。

タイの政治状況は、手短に言えば悪化している。始まりは2006年9月19日のクーデター、いわゆる権力の奪い合いのひとつ。続いて2007年憲法の強制。これは民主党から首相を出すことを望んでの選挙の為の道具だった。

ところが民主党は選挙に負け、アピシットとその仲間が水面下で表に見えない権力との交渉を始める。同時に黄色派がバックに大きな後ろ盾を抱えての活動を行い、空港を占拠する。結果として支配階級の後ろ盾でのアピシット政府が、プアタイ党とのロビー活動を経て誕生。

しかし様々なグループの手助けで成り立つアピシット政権には利益分配の要求が絶えず、これが政府の自由を奪っている。

政府への不満は高まり、赤服による抗議活動での4月10日、5月19日の事件は死者を出すことになる。このような事態になれば普通ならアピシットは持ちこたえられないのだが、マスコミがアピシットのためにその過ちと死者を隠す役割を演じ、これが真実を覆い隠した。

一連の出来事は”善人(コンディー)”派と”タクシン”派との戦争だとは思っていない。ほとんど一方が攻めるだけの不平等な戦争であり民主主義でもないことは確か。民主主義は言わば、明確なルールが有るが結果は不確かであり、前もって結果は分からないもの。そうで無ければ民主主義とは言えない。従って民主党が選挙を許せば結果が転がり込んでくるなどというのは民主主義では無い。

トンチャイ・ウィニッチャクーン先生によると、クーデターを支援するのは:

  1. 都市部の上流階級(vs.貧困層)
  2. 官僚の権力(vs.国会議員)
  3. 君主制主義者(vs.タクシン)

君主制主義者は彼らの理想国家がタクシンと相容れない為タクシンを嫌う。では彼らの言う民主主義とは何か。

  1. 枢密院は政治に介入する権力を持つという民主主義。
  2. 国民は単に国王のしもべで有り、一般市民ではないという民主主義。
    (?: ประชาธิปไตยที่ประชาชนเป็นได้เพียง ข้าแผ่นดิน ไม่ใช่ พลเมือง)
  3. 選挙は民主主義の指標では無いという民主主義。
  4. 検査も責任も無い民主主義。
  5. 軍隊が世話をする民主主義。

民主主義による統治には様々なスタイルがあるが、タイでは首相と君主制が共に権力を持つというもの。首相と大統領というスタイルとは異なる。後者は大統領は選挙で選ばれ、両者がパワーバランスを持つことが重要。憲法がその権力を明確に規定するのが重要で、そうでないと権力の奪い合いという問題が起こる。

タイ式の統治制度の特徴は首相と君主制。しかし憲法が君主制の権限を明確に規定していいないのが問題。首相の能力や君主制との関係によって権力の浮き沈み、変化が起きやすい。だから君主制主義者達は自らの利益の為に君主制に頼る事になる。

選挙システムによる政治が始まるとタクシンの権力と人気は急激に上昇する。君主制主義者達は驚き、利益を失うのを恐れる。だからタクシンに反抗する。

そして国民は黄色だの赤だのと階級間の抗争に加わるようになる。黄色と赤とで似ている部分、それは中間層。

  • 黄色派は選挙を嫌う。政治家は嘘つき、悪人。クーデターを歓迎し、殺された人々を罵る。階級差を良しとする。
  • 赤派は選挙を望む。議員の利益にすがる事ができる。クーデターは容認しない。国民を殺す命令を出した者を罵り、国民は平等だと思っている。
  • 選挙から利益が得られない君主制主義者は、国民は愚かであり、議員は票を買収してインチキを行っているので選挙は不正であると攻撃する。

国民は愚かで貧乏で低学歴という攻撃、これはある裁判官の発言にも見られる。「1600万票掛ける1000バーツで160億バーツ。เอาคืนได้อย่างสบาย(※どういう意味?)」裁判を行う権限を持つ者がこのような発言をするのには唖然とする。日本ならとっくに辞めさせられている。

そういうわけで黄色、赤、両派に不満が有る。赤派は9月19日のクーデターに不満、アピシット政権の成り立ちである二重基準(不公正)に不満。一方、黄色派は多数派の原則(マジョリティー・ルール)に不満。今まで自らに有益だった経済面で不利となる。社会が変わるのが嫌い。

このような政治には出口が見えない。興味深い問題として、いったい両派とも今誰と戦っているのか分かっているのかどうか。黄色が戦っているのはタクシン?5年間徹底的に攻撃してきてまだ勝てない?資金源を破壊しつくしていないから?一方、赤服派については「誰と戦っているのか分かっているのか?」というのはアヌポン大将のかつての言葉。個人的な見解としてはこれは、王の国と国民の国の戦いと見ている。

最後に言いたいのは、民主主義は選挙を否定できない。国民を否定できない。そうじゃなきゃ民主主義では無い。

Written by thaida

2010/08/26 at 14:13

2005年のアピシット氏

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2005年8月26日の記事が興味深いと言っている人が居たので見てみました。

Decree on militants ‘no license to kill’ – The New York Times

タクシン首相は、非常事態宣言の布告は殺人を許可するものでは無く、深南部ムスリムの暴力的な分離独立派を根絶するのに必要であるとし、上院の承認を得て先月から実施されている。
反対派は、これは暴力を煽り立てるだけであり、憲法で保障されている基本的人権に反し、効果もなく挑発的であるとして激しく非難。野党リーダーのアピシット・ウェーチャーチワ氏は、非常事態宣言により容疑者の拘留やメディアの検閲に関して広範な自由裁量権を与える事となり、市民の自由が侵害される事となると非難、また議会での討論にて「出版物の検閲が法により可能となるならば、それは憲法が明言している“戦争下でのみ実施できる”という記述に反する。我々が戦争状態の中にいるのではないことは明白である。」と語った。[後略]


当時のタクシン首相が深南部に非常事態宣言を布告した時の記事でしょうか。深南部の惨状は現在もこの時からそれほど好転しているようには見えません。先日は過去6年の爆弾テロによる死者が4千人を超えたという発表が有りました。死亡者の家族等の間接的被害者は5万人を超えていると言われています。非常事態宣言による効果は、むしろ状態を悪化させたという声も多いようです。第三者機関による監視が無い為、治安部隊による市民の捜査や逮捕監禁に信用できる証拠の裏付けが無い事が、和解を妨げる大きな原因と言われています。
 
現在布告が出ているバンコクや各地方への効果はどうなんでしょうか。深南部程の活発なテロ活動は考えられないとしても、既に反政府派メンバーの暗殺死や不審死が起きている事もあり、活動家の一部は既に地下に潜らざるを得なくなっているようです。やはり深南部と同じような道を辿るのかどうかが不安な点です。
 
アピシット氏については当時の政府を非難した上記の言葉と、首相になってからの行動を比べると確かに興味深いんじゃないでしょうか。アピシット政権に敵対的なテレビ、ラジオ、新聞、雑誌等は検閲どころではなく、全て閉鎖されてしまいました。反政府、反王政的なウェブサイトも10万以上のサイトがタイ国内ISPによりブロックされています。5年前は検閲に反対していたアピシット氏ですが、これは戦争状態だから良しとしているのか、あるいは政権を取って気が変わったのか、それとも当時の政権を攻撃する為の嘘だったんでしょうか。

Written by thaida

2010/06/29 at 17:55

アピシット政権動向

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No Reconciliation for Thailand’s Red Shirts -asiasentinel

アピシット首相は和解を約束しているにも関わらず、背後に軍部の後ろ盾を持つタイ政府による反政府派への締め付けが続いている。最近は5月までの反政府運動への支援の疑いにより83の銀行口座を差し押さえた。アピシット氏は銀行口座を差し押さえた後「誰も迫害しない」と協調しつつ陸軍による強制排除が行われ、6月16日の時点でも435人の赤シャツ抗議運動参加者が投獄されたまま、その数は更に毎日増え続けたという。
 
国際投資家の主な関心は海外逃亡中のタクシン氏の支持者を追い詰めるという企てにより、アピシット政府が国際的な資金の流れをどの程度妨害するつもりかという事だろう。公開された資料からはタクシン氏との繋がりは見られないが、政府はどこに繋がりを見いだそうとするのか。[略]政府による金融ブラックリストにはタクシン氏の家族、23の政治家、15の実業家、17の赤シャツ抗議運動(UDD)の幹部、5人の退役軍人や警察官が含まれている。
 
政府は赤のネットワーク、特にその資金源を弱めることを目論んでいる。その為にテロリストのネットワークが存在するという疑いをかけ、これを正当化するつもりだ。危険なことにバンコク住民は政府のこの計画に賛同している。この対象には野党プアタイ党も含まれており、つまり政敵を弱めるという目的でもある。すぐにでは無いにしても今後の選挙に大きな影響を与える事になる。[後略]


地方での赤狩りは現在も行われているようですが、アピシット政権は反政府運動と敵対する政党を金融ブラックリストでひとまとめにしてその資金源を押さえ込み弱体化させ、次の選挙までの間に権力を強固にしようという目論見のようです。これまでの流れを見ると、まずは反政府運動を徹底的に叩いて反抗者に思い知らせ、「テロリストという魔法の言葉」でその武力鎮圧事態への非難をかわし、そして選挙では勝てない政敵もこれで倒すことが出来る、というわけです。

Written by thaida

2010/06/23 at 16:51

カテゴリー: 政治経済

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政府動向: UDD支援の資金の流れを公開

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政府CRESはUDD支援の疑いが有る資金の流れを公開。
แฉ86เครือข่าย’แม้ว’ทำธุรกรรมการเงินผิดปกติ  -khomchadluak

その内訳の例。

  1. タクシン氏の家族や親戚との間での資金移動314億5千万バーツ。
  2. タクシン氏と繋がりのある議員、元議員との間で15億4千490万バーツ。
  3. UDD幹部との資金移動8340万バーツ。
  4. 元軍人や警察との資金移動16億3410万バーツ。
  5. 民間企業間での資金の循環1189億100万バーツ。


タクシン氏からは資産のかなりの部分を没収した筈ですが、送金先を片っ端から潰してゆくという方針のようです。しかしタイ国内の銀行ネットワークを使うというのはどうなんでしょうか。どこの国でも、日本でも言えることでしょうが政権を持つ者が敵と見なせば普通の金融機関は全て押さえられてしまうと思うのが普通だと思うんですが。

Written by thaida

2010/06/17 at 14:23

カテゴリー: ニュース, 政治経済

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タクシン氏動向

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法務省特別捜査局(DSI)はテロリストの容疑でタクシン氏への逮捕状を発行しました。これを受けてタクシン氏がtwitterで語っていたので要約を載せておきます。

タクシン氏は先程twitterでカンヌ国際映画祭で賞を取ったタイ人の監督への祝辞を延べた後、次のように語っています。

私は現在、現政府により偽の証拠でテロリストに仕立て上げられようとしている。これは1976年10月6日の事件とまったく同じやり方だ。マスコミを使って王政打倒を企むコミュニストなどと宣伝、挙句の果てにテロリスト呼ばわり。二度も選挙に勝ったのにクーデターで政権を取り上げられ、でっち上げの罪で財産を強奪され、平和的手段で社会の公正を求めてきたのにテロリストの罪をなすりつけられている。
世界に向かって民主主義の国であるなどと恥ずかしい事を言うな。戦車を持ち出してその民主主義を求める質素な食事しか得られないような人々を百人殺し千人に怪我を負わせたくせに。
励ましてくれる人達にありがとう。民主主義の為に戦う戦士達にありがとう。私は諦めない、我々は将来のタイの子供達が公平な社会を得られるよう戦い続ける。
人々は困難に苦しみ社会は紛争の中、酷い国に見えるのは認めざるを得ない。法律や司法局は独裁の道具となり、法秩序も慈悲も無く怪しい者を駆逐するだけに使われている。
私はひどい目に会っているがどうでも良い、ただ機会を奪われ、利用される人々に同情するだけ。誇り有るタイ国とその国民を見たい。

とまぁ、いつも通りです。テロリスト容疑で捕まれば死刑になる可能性もありますが、タイの現政権による逮捕状を海外諸国がどう受け止めるかにも注目されますね。

追加 5-25:Thaksin says terrorism arrest warrant not unexpected -nation

テロ容疑の逮捕状が発行されたことについて、タクシン氏は「私を政治的に抹殺するという試みは2006年のクーデターから始まっており、今回もその一環としてDSIが命令されたのだろう」と語った。

Written by thaida

2010/05/25 at 16:16

カテゴリー: 政治経済

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